超々ジュラルミンプレート採用

超々ジュラルミンは一般的なアルミ素材に比べて加工が困難で、かつアルマイト加工の難易度も高い(アルマイト業者様によっては受け付けてくれない)。極めつけに素材自体が高価。大手釣具メーカー様ならいざ知らず、少なくともハンドメイド生産には向いていない素材だと思います。

今回、超々ジュラルミンのハンドル形状への加工のみ専門業者様に依頼(寸法精度も確保)し、その後の追加加工や研磨・アルマイトまで全て自分たちで実施する事で、極力コストを抑えつつ、圧倒的な強度と軽量な特性を併せ持つ超々ジュラルミンを採用する事が可能になりました。

写真は加工業者様から納品頂いたのち、屋号及びシリアルナンバーの刻印、リテーナー取り付け穴加工と一回目の粗研磨を終えた状態のハンドルプレートです。

シルバーポリッシュ加工

シルバーにはアルマイト加工を実施せず、ポリッシュ加工にて仕上げています。アルマイト加工を行うことで更なる表面硬度の上昇等のメリットもありますが、通常のアルミと異なり元々の素材の硬度が高い事もあり、シルバーアルマイトの沈んだ色合いではなく、研磨による輝きを活かした仕上げにしました。メッキとも異なり、素材自体の色ですので、もしクスミや細かい傷が気になりだしたらコンパウンド等で磨く事で輝きを蘇らせることが出来るのもポリッシュ加工のメリットです。

※出荷の際に鏡面に近い状態まで仕上げておりますが、素材の特性上光の角度によっては磨き傷(うっすらと線が入る)が見える場合がございます

ブラックアルマイト

ブラックにはアルマイト加工を施しています。前述のとおり、素材自体がアルマイトとの相性が悪く、加工が大変難しいのですが、リールによってはどうしてもブラックのハンドルを合わせたい。そんな想いで何度も何度も試行錯誤しながら、やっと納得のいくブラックアルマイト加工が出来るようになりました。

リール本体に合わせたアルマイトカラー

ブラックのアルマイトカラーは、マットブラックではなく、出来るだけリール本体に近い艶(画像はアンバサダー1500Cブラック)が出るような加工を施しています。

Simple is the best

軸となるピラーは真鍮を削り出し作成しています。ジュラルミンに比べて重量がある真鍮をピラーに使用する事で、ハンドル回転時の慣性バランスを最適化しています。

道具は軽ければ軽いほどいいかというと、そうとも限らない。というのが僕らの持論で、要は「どこに重心があるか」が大切だと考えています。ロッドエンドにバランサーを取り付けると、ロッドの重量は増しているはずなのに取り回ししやすく、軽く感じる。重心の位置が最適化された結果起こる事です。
このハンドルも同じく、中心にあるプレートは超々ジュラルミンで軽くし、回転する円の外側に重心を置くことで、ハンドル回転のバランスを取っています。

また、ハンドルノブ自体には超高速の回転を求めるものではないことから、ボールベアリングはあえて非搭載とし、ベアリングの錆の発生による回転悪化や、釣行先でのトラブルの防止も含め、シンプルにする事で得られる堅牢性・道具としての信頼性を優先しました。

写真は大まかにカットした真鍮素材です。ここから旋盤を使用し、一つ一つ加工していきます。